会員通信 2003 Summer
2003年 夏号

  • 2003年08月15日


早いもので、創刊号の発刊からもう1年が経ちました。
たった1年の間に、考えもしなかった出来事がたくさんありました。
イラク戦争、SARS菌の脅威などなど。
情報網の進歩により、世界中のニュースが直ぐ分かるようになりましたが、
痛ましい事件・事故のニュースばかりが目について、
「タマちゃん」ファンでも、動物愛護推進派でもない私でさえ、
もう少し心休まる話はないものかと思わずにはいられません。
それでは、2周目を迎えました「会員通信・夏の号」をお届けします。

幹事役ご紹介

全国弁護士グループの幹事役(九州ブロック代表)を快諾していただいた秋月先生をご紹介します。

ちょっとだけ自己紹介

私が修習生の頃、すざまじい労働事件を知った。労務屋が職場を牛耳って組合員を蹴散らし、組合事務所は電気も水道も止められていた。組合役員の人格すら蹂躙する攻撃には心底腹が立った。弁護士になって最初の仕事がこの職場での抗議行動だった。労務屋の態度は迫力満点で正直、足が震えたが、気がつくと正面に立ってやり合っていた。口さがない知り合いからは「また、馬鹿なことやって。」と冷ややかに見られたが、組合や支援団体からは絶大なる信頼を得た。

あれから9年が経過するが、あのころの情熱を失っていないか常に自問自答しつつ、理論的な力も身につけたいものだ。

弁護士 秋月慎一
北九州第一法律事務所
1994年弁護士登録

弁護士法人化にあたって

弁護士法人 阪南合同弁護士事務所

私たち阪南合同法律事務所は、この1月より、事務所を法人化し「弁護士法人阪南合同法律事務所」をスタートさせました。
法律の改正により、法律事務所の法人化が認められたのを受け、これを実現した理由は、事務所をもっと大きくして、経営を合理化し、さらに活動を充実させたいと考えています。
弁護士の共同化を進めることで、総合的な対応を可能にし、お客様と個々の弁護士との関係も大切にしながら、事務所全体としてのつながりを強め、継続的なサービスの提供を目指します。


弁護士法人 阪南合同弁護士事務所

弁護士 西本徹   弁護士 岡本一治
弁護士 山崎国満  弁護士 半田みどり
事務局長 大畠 仁  事務局次長 兵井 くみ
事務局 泉 共    事務局 坂口千咲
事務局 山本あかね 事務局 五十嵐さやか

*住所:岸和田市沼町 TEL:0724-38-7734

わが事務所のニューフェース

あべの総合法律事務所

私たちの事務所は、昨年の10月に佐藤真奈美弁護士と中森俊久弁護士を迎え、弁護士5名、事務局6名の体制となりました。
佐藤弁護士も中森弁護士もいずれも若く、人柄もよく、気さくで、しかも弁護士としてのプロ意識も高く、きっと皆さんのお役に立ってくれるものと思います。佐藤弁護士は過労死問題を取り組みたい、仲森弁護士は少年事件や刑事事件をやっていきたいとのことで、二人とも社会的に弱い立場の人のために弁護活動をしたいと決意を述べています。事務所は二人が研鑽と経験をつんで大きく飛躍してくれることを願っています。

中央、中森弁護士

佐藤弁護士

あべの総合法律事務所
弁護士 蒲田豊彦    弁護士 岩城 穣
弁護士 大橋恭子    弁護士 佐藤真奈美
弁護士 中森俊久    事務局長 酒井秀和
事務局次長 根木原知子 事務局 阪田裕美子
事務局 藤井結子    事務局 浅田静香
事務局 杉山勇樹

*住所:大阪市阿倍野区 TEL:06-6636-9361

コラム

明治神宮外苑案内文より

青山銀杏並木(トップ表紙の写真)

並木の総本数は146本(雄木44本・雌木102本)

この外苑の銀杏樹が、この世に実生えたのは、造園界の泰斗・折下吉延博士(当時の庭園主任技師・昭和41年86歳で没)が新宿御苑に奉職中の明治41年新宿御苑在来木の、銀杏樹から銀杏を採集し、これを種子として代々木の宮内省南豊島御料地内(現在の明治神宮内苑)の苗圃に蒔いたことによります。その後、苗圃の木々はすくすくと成長し、その数1600本にもなりました。

外苑造苑に当り、この銀杏樹を採用することになり、既に樹高6メートル内外に成長していた、これら多数のなかより候補樹を選抜し、更に並木として適格になるよう、年々樹形を整えてきたものを大正12年(1923)に植栽したものです。

お薦め本 From the reader in the wood

弁護士 小川英郎 ウェール法律事務所

「モラル・ハラスメントが人も会社もだめにする」
マリー=フランス・イルゴイエンヌ著 高野優訳 / 紀伊国屋書店・発行

本書は1998年に刊行された前著「モラル・ハラスメント」の続編である。モラルハラスメントを日本語に直訳すれば、「精神的嫌がらせ」いうほどの意味であるが、その実態を見ると、「精神的暴力」という言葉のほうがぴったりくる。

前著が発行されてから、フランスでは「モラルハラスメント」という言葉が広く認識され、多くの被害者から著者の元に相談が寄せられている。本書は、このような状況を受けて、特に職場におけるモラル・ハラスメントの問題に焦点を当てて、その実態や影響、モラルハラスメントが発生する環境的な要因を分析し、企業レベル、社会レベル、個人レベルでの予防策を示している。

我国の労働現場でも、「職場いじめ」が社会問題化し、日本労働弁護団のリストラ110番にも多くの相談が寄せられているが、その実態は、本書で紹介された事例と驚くほど似ている。したがって、モラル・ハラスメントの原因や対策を専門家の立場で解明した本書は、わが国で相談活動を行う弁護士や労働組合の活動家にとって、大変参考になるはずである。

著者は、職場におけるモラル・ハラスメントを「不当な行為(身振り、言葉、態度、行動)を繰り返し、あるいは計画的に行うことによって、ある人の尊厳を傷つけ、心身に損傷を与え、その人の雇用を危険にさらすこと。また、そういったことを通じて職場全体の雰囲気を悪化させること」と定義する。この定義で重要なのは、敵意ある言動が繰り返し行われることを特徴としている点である。一見取るに足らない言動であっても、これが長期間にわたって継続されると、被害者は疲れ果て、心身に回復しがたい重大なダメージを受ける。このような敵意ある陰湿で執拗な攻撃がモラル・ハラスメントの特徴なのである。

モラル・ハラスメントは、「自己愛的変質者」が加害者になるものとされる。(自己愛変質者とは、「自分の身を守るために、他人の精神を平気で破壊する。しかも、それを続けていかないと生きていけない人」のことである。)

現在の企業社会の中では、リストラ、企業再編が進み、企業間の競争だけでなく、社員間の競争も厳しくなっている。その結果として、職場のストレスは高まり、コミュニケーションが減り、ますますモラル・ハラスメントを生みやすい環境になってきている。一方で企業は、モラル・ハラスメントを解決しようとせず、逆に自己愛的変質者タイプの社員を重用するようになっているという。

著者はいう。「現在のように仕事の世界で生き残る条件がだんだん厳しくなってくると、ことの善悪はともかく、企業の中ではある種の選別システムが働いて、自己愛的な変質者が組織の重要なポストに就くようになる。というのも、この人たちは冷たく、計算高く、情けというものを知らないので、人間的な感情のしがらみにはとらわれずに、合理的な選択を行うことが出来るからである。」

わが国の職場でも同様のことが深く進行しているのではないだろうか。職場のいじめは、解雇や労働条件の切り下げ等と比べて、証拠収集が困難であり、主観的な判断も加わってくるため、弁護士や労働組合にとっても、対処が難しい領域とされてきた。

しかし、モラル・ハラスメントは、間違いなくわが国の職場でも日常的に発生しており、今後ますます増えるであろう。労働者の人格を傷つけ、精神障害や自殺にまで追い込むモラル・ハラスメントは、加害者個人だけの問題ではなく、それを温存し、時には利用する企業のあり方そのものと直結している。

労働問題の専門家だけでなく、職場における人間関係に悩んでいる人にも是非一読をお勧めしたい。


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取扱代理店 株式会社 宏栄

編集部より

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