会員通信 2010 Summer
2010年 夏号

  • 2010年08月01日


猛暑の続く中、2010年夏号をお届けします。

New Face 登場

弁護士 宮西 陽子 埼玉中央法律事務所

埼玉中央法律事務所 2010年夏NO.51 より

弁護士6か月で思うこと

昨年12月に修習生活を終え、弁護士となり半年が経過しました。事務所の事務局や先輩弁護士の、目の前の問題を解決するために真摯に取り組む一方で、社会全体を見た活動も積極的にされている姿に勉強させていただくことの多い毎日です。

業務の中で債務整理の依頼者の方に接し、借入の原因は色々ありますが、最終的には返済のために借入をせざるを得なくなるという状況を目の当たりにしました。多額の債務を負い精神的に疲弊した方や債務整理ができたとしても、収入が不安定なままであるなどその後の生活再建に不安を抱えたままの方も多く、やるせなさを覚えるとともに自分のできることの少なさに歯がゆさを感じることがとても多いです。借入をしなければ生活が維持できないという状況は不健全であり、安心して日々の生活を送れる社会を作る努力をしなければならないと考えさせられました。 そのための活動は、諸先輩方がされているので、その背中を見て何ができるかを考えながら、日々取り組んでいきたいと思います。

何卒よろしくご指導ご鞭撻のほどお願いします。

ところで、先日、熊本では動物愛護団体と行政とが協力して保健所でのペットの殺処分件数がとても少なくなった、という記事を読みました。保健所の犬をしつけ、新たな飼い主が見つかるまで探す機会を定期的に設ける、ということを続けた結果だそうです。私も、少しでもペットも平穏に暮らせるような環境が作れるよう地道に活動していきたいな、と思わせられました。

コラム

弁護士 野澤 裕昭 旬報法律事務所

旬報法律事務所 JUNPO Vol.49 2010 SUMMER「夏季号」より

ツイッターにはまる

ツイッターが流行りだ。コンピューター上でTwitterというサイトで好きな名前(アカウントという)で誰とはなしに「つぶやく」のである。何が面白いかというと有名人が多数ツイッターでつぶやいているのだが、そのつぶやきに直接話しかけることができるのだ。普段は会えない人に直接ため口で話せるのは驚きだ。例えば、今、ソフトバンクの孫正義氏、浜崎あゆみ、つい最近まで首相だった鳩山由紀夫をフォロー(つぶやきの追跡みたいなこと)している。あるとき浜崎あゆみが孫正義につぶやきだした。あゆは孫氏にソフトバンクのCMに出て犬のお父さんと共演したいと直接つぶやいた。すると孫氏は、「やりましょう」と答えた。2人をフォローしている人々(大勢いる)は孫氏に「本気ですか」と尋ね、孫氏は「ガチです」と答えた。 こんな感じで実際にやりとりされている。あゆがソフトバンクCMでお父さんと共演する場面が近々テレビに流れるかもしれない。僕のつぶやきの成果はこれと言ったものはまだない。鳩山前首相には普天間基地問題でつぶやき続けたが返事はなかった。けしからん。ちなみに、私のツイッターのアカウントはnozawahiroaki。そのまんまの名前です。携帯からもアクセスできますよ。

お薦め本 From the reader in the wood

弁護士 宮里 邦雄 東京共同法律事務所

季刊・労働者の権利 2010.7 SUMMER Vol.285 より

書評 「幸せになる資本主義」田端博邦 著 朝日新聞出版 刊

「幸せになる資本主義」とは、なかなか魅惑的なネーミングである。資本主義と幸せは、絶対矛盾であると考える人には挑戦的なネーミングであるが。読む前のレッテル貼りはやめてともかく読むことにしよう。
「幸せになる資本主義」は可能か、それが本書のテーマである。「幸せになる資本主義」の意味について、著者は、「人びとが、市場における競争と対立に翻弄されることなく、人間らしい生活を営みうるような社会のことである」と述べている(「まえがき」)。

著書は、リーマン・ショック後の金融危機は、世界の資本主義を変えつつある、ネオリベラリズムの時代は終わった、との認識のもと、「幸せになる資本主義」のあり方はどのようにして可能なのかを-「自己責任」をキーワードに、資本主義世界の変化と可能性を多角的な視点から論じている。その論旨は、第1章「いろいろな資本主義」、第2章「アメリカ型『自己責任』」、第3章「資本主義世界の転換」、第4章「市場と政府」、第5章「『自己責任』から『社会責任』へ」、第6章「人間のための資本主義」、終章「『自己責任』を超えて」の順序で展開される。議論の基本的な筋立ては、「市場」と「社会」との関係をいかに読み解くか、という視点である。

著書は、2007年に刊行された前著『グローバリゼーションと労働世界の変容』(旬報社)において、労使関係の国際比較を行い、グローバリゼーションが労使関係にどのような影響を与えているかを分析したが、本書では、資本主義の変化という基本的な問題を論じている。

著者は、「専門を超える領域に話題を広げた」、と謙遜するが、労働法研究者として、比較労使関係法などを中心に研究してきた著者にとって、本書の執筆は大変な作業であったと思われる。

本書の議論をしめくくる終章において、著書は、市場原理のもとで宣伝された「自己責任」の意味を確認し直し、「自己責任」論の陥穽から脱し、「社会責任」論を再構築することが必要ではないか、そのことは可能ではないか、と提起する。

「社会責任」論の再構成として、どのような政策が採られてるべきかについて具体的に論じている訳ではなく(例えば、これからの労働法制のグランドデザインについて)、この点にやや物足りなさを感ずるが、それは本書の主題ではない。

「自己責任」社会から「社会的」責任社会への転換にあたって、社会が共有すべき基本的価値は何かをさし示すことがいまもっとも必要なことと思われるが、本書は、このようなことを考える上で示唆を与える好著である。
法律実務の世界は、顕微鏡のように狭く深いが、時に望遠鏡のように広く遠くを観る必要がある。

本書を読んで、労働法制の規制緩和の論拠となった「市場主義」や「自己責任」の本質、「自己責任論」がもたらした社会の崩壊とネオリベラリズムからの転換の必然性、そして今求められる「公共性」「社会責任」の再構築など労働のあり方の根底とかかわる今日的テーマを改めて俯瞰的に勉強する機会を与えられた。

弁護士 佐久間 大輔 東京本郷合同法律事務所

「労災・過労死の裁判」佐久間 大輔 著 日本評論社 刊

・判型:A5判 ページ数:324ページ   ・定価:3,990円(税込み )

2000年以降の労災・過労死をめぐる裁判例を労働者保護の視点から詳細に分析し、判例の到達点と課題を示す。
[第1部]労災保険給付不支給処分取消行政訴訟
第1章 脳・心臓疾患
第2章 事例報告
第3章 精神障害・自殺
第4章 その他の疾病
[第2部]損害賠償
第1章 損害賠償をめぐる判例法理
第2章 過労死事案における民事損害賠償責任
第3章 脳・心臓疾患等事案における民事損害賠償責任の要件
第4章 過失相殺・素因減額
[第3部]管理職労働者と過労死
第1章 「管理監督者手前型」の労働者と過労死
第2章 管理監督者に対する労働時間把握および健康管理の責任の所在
第3章 労働基準法41条2号の管理監督者性を判断する要素


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編集部より

このところ各地から気温38度超を計測したニュースが届いています。熱帯地方ではない地域で普通に生活する環境としてはもはや限界に近いです。エアコンに頼らずに涼しさを感じる方法を調べてみました。遮熱(カーテンや簾)、排熱(風)、打ち水、風鈴などの音、色(インテリア)、衣類の素材などだそうです。なにから手をつけていいのか・・・、そこで思いついたのが本号の紙面です。すこしは涼を感じていただけたでしょうか。

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