会員通信 2012 Summer
2012年 夏号

  • 2012年08月01日


2012年、ロンドンオリンピックの夏です。

ひまわり

コラム

The News JUNPO Vol.53 2012 SUMMER「夏季号」より

弁護士 大熊 政一 旬報法律事務所

遠野の里

東日本大震災のちょうど5ヶ月後、岩手県遠野市を訪れた。柳田國男の「遠野物語」で知られた民話のふるさとだ。カッパ淵、曲り家の古民家、自然石に五百体の仏を線刻した五百羅漢、伝説にまつわる神社や寺院など名所旧跡に事欠かない。早池峰山をはじめ自然景観にも恵まれている。内陸部であるが東側の峠を超えれば三陸海岸沿いの町々に意外に近い。そのため津波被害を受けて避難してきた人々が市内の公共施設に数多く生活していた。のどかな内陸の里にも震災の影響が及んでいる。駅前の二階建ての交番は全体がカッパの顔をしていた。

東京中央法律事務所 事務所だより NO.68 2012年7月より

弁護士 斉藤 豊 東京中央法律事務所

共感の時代

規制緩和やグローバリゼーションの行き過ぎは経済活動だけでなく社会全体にも大きなひずみを生み出しました。他方、競争自体が問題なのではなく、行き過ぎを防止したり、競争から脱落した人へのセーフティネットの確保が問題だという擁護論も根強いようです。たしかに、まじめに働く者が馬鹿をみるという世の中は公正な社会とはいえません。

社会ダーウィン主義という言葉があります。進化論の適者生存の自然法則は人間社会にも当てはまり、強い者が勝ち弱い者が負ける競争原理は、弱肉強食の自然界の法則と同様だとして、競争を合理化する議論です。他の動物と違い、人は頭がよいので過度の競争にならないよう抑制できるのがジャングルとの違いだというのでしょう。

しかし本当にそうでしょうか。私がここ数年でもっとも感銘を受けた本の1つに、フランス・ドゥ・ヴァール著「共感の時代へ」(紀伊國屋書店)という動物行動学の本があります。この本は、ダーウィンの唱えた進化論の真髄は適者生存という点にあるのではなく、進化の源泉は不適者(相対的弱者)に対する共感にこそあるのだということを説いた本です。霊長類に限らず様々な動物の生態を例に挙げ、進化の過程には他者への「共感」を求めるというDNAのシグナルがいかに力強く働いているのかを紹介しています。我々のDNAは遠いご先祖様の昔から、弱いものを蹴落として自分が生き残るというのではなく、弱いものを助けながら共に生き残るという指向をを強く持っているのです。この意味からすると、社会ダーウィン主義という言葉は、進化論の正しい理解とは程遠いネーミングだと著者は批判しています。

震災以来、「絆」という言葉が良く使われます。被災者への「共感」を表すこの言葉も、我々の中にあるDNAに由来する根源的欲求の表れなのだと考えると、自然に気負いなく向かい合うことができるのではないでしょうか。

新人紹介

The News JUNPO Vol.53 2012 SUMMER「夏季号」より

弁護士 深井 剛志 旬報法律事務所

  • プロフィール
    横浜生まれ、千葉育ちです。一橋大学に入学したころから法曹になりたいと思って、早稲田大学のロースクールに進学しました。
  • 事務所に入った動機は?
    法曹になろうと決めたころから、人権課題に取り組む弁護士になりたいと思っていました。そこで、事務所の先生方が長年労働事件、薬害事件、公害事件、憲法訴訟などの人権活動に熱心に取り組んでおられたことが非常に魅力的であると思い、志望しました。
  • 今ハマっているものは?
    司法試験が終わったので、高校以来やっていなかった野球を始めました。毎週日曜日、近所の小学校のグラウンドで、汗を流しています。練習後に飲むビールが何よりの楽しみです。

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取扱代理店 株式会社 宏栄

編集部より

今年の夏の話題は何と言ってもロンドンオリンピック。
中でもサッカーは男女とも大活躍で寝不足となりました。なでしこに負けじと男子も戦前の予想を覆す活躍で、朝日新聞の天声人語では日本のサッカーを「スモールサッカー」と称しました。米国でのMBLのイチローの野球が「スモールベースボール」と賞賛されたところからとったとのこと。
世界に日本のサッカースタイルを示す日が来るとは本当に驚きです。2006年のドイツW杯で中田を要した史上最強チームが1勝も出来なかった時、日本のサッカーファンは世界の壁の高さに唖然としたものです。あの時、「大丈夫、日本には日本人らしいサッカーが出来る」といってくれたのが日本代表チーム監督に就任したイビチャ・オシムでした。彼は言いました。「スピードとパスを基礎とした組織的な日本人らしいサッカー。これこそが日本人のサッカーだ。」あれからたった6年、それが現実になりました。
深夜、オリンピックのサッカー中継を見ながら「オシムさん、ありがとう」と心の中で一人ゴチました。

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