会員通信 2007 Spring
2007年 春号

  • 2007年04月13日


桜前線も日本列島を縦断し、これから梅雨までの間、過ごしやすい爽やかな日が続きます。
通算20号目、2007年春号の会員通信をお届けします。

コラム

弁護士法人 みやこ法律事務所 弁護士 橋本皇玄

弁護士法人 みやこ法律事務所 事務所報「大文字」 2007年冬号(第26号)より

血液循環をよくするのは、運動、お風呂、お酒のどれがよい?

■お風呂、お酒、運動と血行促進

私は、以前、大文字というこの事務所報に、「お酒と身体の関係」や「入浴と健康」について色々書かせて頂いた関係で、ある知人から「自分は、お酒をよく飲むので十分に血液循環は満たしており、血行促進との関係ではそんなに運動しなくてもよいのではないか。」との質問というか言い訳を聞きました。そういえば、亡くなった親父も一生酒飲みといわれた酒飲みですが、いつも「酒(日本酒のこと)は、米で出来ており最高の栄養食品で、百薬の長でもあり最高の薬だ。」といって、夜は必要以上に酒を飲み食事は十分に取らないで、これを正当化していました。これは「栄養」や「薬」の意味をはき違えたものですが、それはそれとして、知人の質問について少し整理をしてみることにしました。

確かに、お風呂、お酒、運動の三者いずれも身体中の血行をよくして、発汗作用、代謝の活性化、リラックスを生じさせてくれます。従って、お酒も血液循環を良くするので、冷え性の人の中でお酒を飲めばよいのではないかと考えている人もいます。

しかし、これら三者のそれぞれに長所短所があり、その程度は違います。私が、かつてこの大文字の原稿を書く際に調べた知識を整理し、今回、運動も含めて、これらの長所短所という視点から、それぞれどこがどう違うかを考えてみることにしました。

■長所と短所

1. [運動の長所]
運動は、血行を促進し発汗作用、代謝の活性化を促し、リラックスな気分を発生させてくれるという三者共通の長所があります。その外、特に、運動は三者の中でも最もカロリーを消費し、血中の血糖濃度や脂肪酸、中性脂肪を減少させますので、これに水分(できれば若干の塩分ミネラル等の含まれているものがよい)を補給すれば、血液はサラサラになります。更に、心肺機能を上昇させ身体的持久力と耐久力が身に付き、また、筋力が鍛えられ骨格も形成し(骨密度も上がる)、身体的な老化を防いでくれます。加えて、身体の免疫力を高め、運動を継続すると皮下脂肪・内臓脂肪などの体脂肪を減らして肥満を解消してくれます。これらの長所はお風呂やお酒の比ではありません。

[運動の短所]
筋肉運動をしますと、筋肉内に乳酸を発生させて筋肉疲労、疼痛を発症し、やりすぎると炎症を起こしたり、ケガをしたり、水分補給を間違えると脱水症状になることもあります。

2.[お風呂の長所]
お風呂は、血行を促進して発汗作用、代謝の活性化、リラックス化を発生するという上記三者共通の長所が全般に強いということです。特に、発汗作用とリラックス化は運動よりも大きいでしょう。

[お風呂の短所]
お風呂は、まず、運動の場合のような「血液サラサラ、心肺機能の上昇、持久力と耐久力の増強、筋力と骨格の形成」等の長所がないことです。また、入浴時には血圧が上昇する場面もあるので、うまく利用しないと事故を起こしかねません。お風呂は発汗作用が強いだけに脱水症状によってドロドロ血液になる可能性が高いので水分補給を忘れないで下さい。

3.[お酒の長所]
お酒は、血行及び代謝の活性化を促進する上記三者共通の長所の外、中でもリラックス化の程度は運動よりも、更にお風呂よりも一層高いものがあります。

[お酒の短所]
お酒は、お風呂と同じように、運動の場合のような「血液サラサラ、心肺機能の上昇、持久力と耐久力の増強、筋力と骨格の形成」等の長所はありません。また、飲酒時には血圧が上昇すること、飲み過ぎると事故やアルコール依存症にもなりかねないこと、アルコールで脱水症状になり、かえってドロドロ血液になること、アルコールの分解で肝臓に負担をかけること等の短所があります。しかし、もっと重要な短所は、アルコールが分解されることによって生じたアセトアルデヒドが身体全体に悪さをすることです。更に、アセトアルデヒドを分解する際にミネラルやビタミンを消耗します。加えて、アルコールはそれ自体高カロリーで肥満を招来します。ここが運動と全く逆となります。また、お酒は食事が偏り栄養バランスを失う傾向があります。

お酒を飲むと最初は血圧が上昇しますが、ほろ酔い加減の段階で末梢血管が拡張し血圧は下がります。しかし、更に飲み続け深酒をした後など、最後には末梢血管が縮小し、結局、血液循環が悪くなります。深酒を続けますと血行促進どころか動脈硬化を促進します。大酒飲みの多くの人が晩年に脳梗塞になっている臨床例があります。

■入浴とお酒の注意

お酒もお風呂も健康的な側面がある一方で、双方一緒にすると良くないのです。

お酒を飲んでいるときは、既に血管が拡張していますので、入浴すると拡張した血管が一気に収縮することから血圧は劇的に上昇します。この段階で脳内出血を起こす可能性があるのです。従って、お酒を飲んでの入浴は極めて危険です(酒量にもよりますが)。

お酒を飲んだままどうしても入浴するときは、できるだけぬるい湯に心臓から遠い部分から徐々に入り、しばらく半身浴を続けて、その後ゆっくり首までつかりましょう。

入浴して3分位すると熱刺激を受けて収縮していた血管は、熱を発散するために、今度は拡張し始めます。こうなれば血圧も下がり安定します。しかし、長湯は血圧が更に下がって「のぼせ」を生じます。
入浴の注意としては

1. 湯船には一気に入らない。心臓に遠いところから徐々に入る。
2. 湯の温度は38~40度位のぬるめがいい。
3. しばらく(1分位?)半身浴をして、後は全部つかってもよいと思う。但し、心臓の弱い人は半身浴を原則とするのがよいと思います。
4. 湯船から出て身体を冷やさない(特に高血圧の人)。つまり、入浴によって拡張した抹消血管が湯船から出た
寒さによって一気に収縮します。この時、劇的に血圧が上がります。心臓にも血管にも大きな負担がかかりますので脳内出血の原因にもなります。

お酒が入るとこれらの危険が倍加します。よく、冬に居酒屋で酒を飲んで身体が暖まったところで店を出たときに倒れる人がいます。飲酒で拡張した血管が寒い冬の外気に触れて、一気に血管が収縮して血圧が劇的に上昇したからです。お風呂とお酒でこの現象が倍加するので、お酒を飲んでお風呂に入ってはいけないのです。

■総括

結局、血液循環を良くするのは、運動、お風呂、お酒のどれがよい?との問いに対しては、もう、お分かりいただけたと思いますが、やはり、面倒でも運動による血行促進が一番よいという気がします。

しかし、気軽に血行を良くしようとするには、運動は準備とか機会とかが難しいところ、お酒は手元にあるものをおいしく召し上がるだけで済むのですから非常に便利です。リラックスというストレス解消面では三者の中で最も優れているなど考えると、お酒による血行促進には心が引かれます。

しかし、お酒の短所(身体の負担、損傷、栄養偏重、肥満→結局は酒量が問題)を回避しなければなりませんので、自分のお酒の強さを理解しつつ、これに応じて酒量を定めてできるだけ少量の酒を時間をかけて飲むことが、お酒の弊害を最小限にしつつ、百薬の長としての酒の利点を最も生かした飲み方になるのです。お酒の効果は僅かなアルコールで十分であり、百薬の長となる酒量は、酒に強い人はビール大瓶1本、普通の人は350mmlの缶ビール1本、弱いと思う人はビール0.5合つまりコップ半分位でしょう。どうですか。お酒を百薬の長としてこれを励行することの方が難しいとは思いませんか。

Book Information

会員の先生が出版された書籍をご紹介いたします。

憲法の危機をこえて

編著者 東京共同法律事務所 弁護士 宮里邦雄 / 弁護士 山口 広 / 弁護士 海渡雄一

改憲の動きが強まっている。こうした危機的状況を前に、「憲法」や「人権」にかかわる裁判や日々の活動の現場で生じている種々の問題を今日的な視点でみつめ直した、現役弁護士14人によるユニークなエッセイ集。日本国憲法の深い存在意義を再考。

 

著者・編集プロフィール

宮里 邦雄(ミヤサト クニオ)
労働事件を中心に情熱を燃やして活動すること40年余。現在日本労働弁護団会長を務める。2004年4月から東京大学法科大学院(ロースクール)の実務家教授として、労働法、法曹倫理を講義。労働法・労働事件に関し多くの著書・論文を執筆している。沖縄県出身。
山口 広(ヤマグチ ヒロシ)
1986年に霊感商法問題に取り組み始めて以来20年間、全国霊感商法対策弁護士連絡会の事務局長として破壊的宗教カルト対策の前線に立ち続けている。その活動が広がり2005-06年度の日弁連消費問題対策委員会委員長を務める。ここ数年、吉野の修験道や四国遍路を実践しているが、効果は……。福岡県出身。
海渡 雄一(カイド ユウイチ)
弁護士になる時から原子力発電の危険性を訴えこれを止める訴訟活動をやると決意していたが、その初心を今も貫いて原発訴訟の一線にいる。機械に強く、日航機事故、中華航空機事故の被害者代理人もした。拘置所・刑務所に収容されている人の人権擁護にも尽力し、そのためのNPOも運営している。パートナーは福島みずほ現社民党党首だが、党派には固執しない。兵庫県出身。


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取扱代理店 株式会社 宏栄

編集部より

2年後に迫った裁判員制度に向けて、様々な話題がマスコミで取り上げられています。
外見で不利益にならないように被告の服装がジャージ・サンダルからスーツ・ネクタイ・革靴、女性はお化粧も、裁判員の日当を最高で1万円程度に、裁判員辞退理由は70歳以上、重病、親族の介護、極めて重要な仕事などに限定など。
裁判員制度を考えるとすぐに思い出す映画があります。ヘンリー・フォンダ主演の「12人の怒れる人々」(1957年制作)、ジャック・レモン主演による「12人の怒れる人々」のリメイク(1997年)、そして三谷幸喜脚本の「12人の優しい日本人」いずれも陪審員の審議の様子を描いた映画で、ストーリーはとても面白いのですが、2年後に自分がくじで6人の中に選ばれたらと考えると楽しんでばかりはいられず、複雑な心境になってしまいます。
くじ運が悪いから当たらないと安心していますが、悪いから当たりそうないやな予感もしています。

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