会員通信 2010 Autumn
2010年 秋号
- 2010年11月01日
22年度総会のご案内
22年10月16日 東京
・中央大学駿河台記念会館330号室
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-11-5
役名 | 氏名 | 所属会 | 事務所名 | 備考 |
会長 | 水口 洋介 | 二弁 | 東京法律事務所 | 留任 |
事務局長 | 山内 一浩 | 東弁 | 旬報法律事務所 | 留任 |
幹事 |
山本 博 | 東弁 | 東京協立法律事務所 | 留任 |
宮里 邦雄 | 東弁 | 東京共同法律事務所 | 留任 | |
岡村 親宜 | 東弁 | 東京本郷合同法律事務所 | 留任 | |
江森 民夫 | 東弁 | 東京中央法律事務所 | 留任 | |
徳住 堅治 | 東弁 | 旬報法律事務所 | 留任 | |
井上 幸夫 | ニ弁 | 東京法律事務所 | 留任 | |
鴨田 哲郎 | 東弁 | 旬報法律事務所 | 留任 | |
小島 周一 | 横浜 | 横浜法律事務所 | 留任 | |
水野 英樹 | 二弁 | 水野法律事務所 | 留任 | |
君和田 伸仁 | ニ弁 | 東京法律事務所 | 留任 | |
堀 浩介 | 東弁 | 東京南部法律事務所 | 留任 | |
棗 一郎 | ニ弁 | 旬報法律事務所 | 留任 | |
小川 英郎 | ニ弁 | ウェール法律事務所 | 留任 | |
圷 由美子 | 東弁 | 旬報法律事務所 | 留任 | |
菅 俊治 | 東弁 | 東京法律事務所 | 留任 | |
佐藤 正知 | 横浜 | 横浜法律事務所 | 留任 | |
雪竹 奈緒 | 二弁 | 旬報法律事務所 | 留任 | |
佐渡島 啓 | 埼玉 | 埼玉総合法律事務所 | 留任 | |
監査 | 佐久間 大輔 | 東弁 | 東京本郷合同法律事務所 | 留任 |
お薦め本
弁護士 徳住 堅治 旬報法律事務所
季刊・労働者の権利 2010・10 AUTUMN Vol.287 より
「企業組織再編における労働者保護」
毛塚 勝利 ・ (財)連合総合生活研究所編
本書は、「企業組織再編における集団的労使関係システム」を焦点にして纏められたものである。企業組織再編に伴う労働者個人の権利義務をめぐる問題(例えば、労働契約の承継、労働条件の変更、包括的な保護法案など)に関する著述は、これまで数多く発表されてきたが、集団的労使関係システムに焦点をあてたものはほとんどなく、類書を見ない好著と評価できる。
本の構成は、「序章 本研究の目的・概要と総括」毛塚勝利、「第1章 企業組織再編と従業員:経済学的の視点から」久保克行、「第2章 企業組織再編と労働者:会社法・金融商品取引法の視点から」受川環大、「第3章 ホールディングス体制と労働組合法上の問題点-グループ労働協約を素材に」本久洋一、「第4章 企業組織再編と親会社の『使用者』性・団体交渉義務」竹内(奥野)寿、「第5章 企業買収に向けた動きと労働組合」藤本真、「第6章 企業の構造改革・合併における労働組合の対応とその課題」藤田正隆、「第7章 産別担当者からみた企業組織再編の進展と労働組合の課題」中村義雄、「第8章 各国ナショナルセンターの企業買収・投資ファンド規制」青木健となっている。
毛塚は、本研究の目的・概要として、企業再編過程で、労働組合がどのように対応し、どのような問題を抱えることになったかを精査すること、労働組合の企業再編への対応・経験を基礎に、今後の労働者保護法制のあり方を考えることとしている。
久保は、「経済学の理論によると、株主のみが企業の重要な意思決定を行う、ということは必ずしも当たり前ではない。いくつかの状況では従業員が意思決定に参加することが望ましい。」との立場から、従業員と経営者との間の企業組織再編についての情報共有、労使協議の効果を分析している。受川は、労働者保護に配慮した企業統治のあり方、労働者・労働組合の会社経営に対する具体的な関与のあり方を検討した上で、企業組織再編プロセスにおける労働者保護に関する立法論的考察を試みている。
本久は、C労組のホールディグス化における対応を素材にして、中核企業労組が一方当事者として連署し、各事業子会社および純粋持株会社を他方の当事者として連署するCグループ労働協約について分析・報告している。Cグループ協約は、純粋持株会社における今後の労使交渉のあり方に多くの示唆を与えるものである。竹内は、朝日放送事件・最判を踏まえ、親子会社の類型には、社外労働者受け入れの類型とは異なり、労働力を直接利用することに注目するのではなく、資本関係を基礎とした支配力が現実的かつ具体的であるかによって「使用者」性を判断すべきであるとしている。「決定」を除外し、「支配力」のみを要件としている点は、注目に値する考え方である。
藤本は、スティールパートナーズによるサッポロビールの買収攻撃、王子製紙による北越製紙の買収攻撃、ファンドによる東急観光買収後の動きについて、労働組合からの聞き取り調査を踏まえて労働組合の対応を分析・報告している。藤田は、医薬品メーカーJ社の構造改革・合併を通じて、経営への参画、情報開示の仕組み、労使協議・交渉のルール化について、論述している。青木は、OECD労働組合諮問委員会、イギリス・アメリカの労働組合におけるPE(プライベイト・エクイテイ)ファンド規制の論点を踏まえて、わが国におけるファンド規制の方向性を論じている。
本書は、企業組織再編における集団的労使関係のあり方に多大な影響を与える論点を数多く含んでいると思える。
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